海外へも行けるようになり、今年は延びに延びていた海外での共同研究がスタートしました!
まずはシンガポールまで打ち合わせに行った牧教授のレポートです ↓↓
今年の夏,シンガポール国立大学を研究拠点として,熱帯地方の森林や海岸に浮遊する微生物(バイオエアロゾル)を調べる大気観測を実施し,温帯の微生物との違いを明らかにするプロジェクトが始まる。
熱帯と温帯とでの違いが判ると,健康影響をおよぼす感染菌や有害菌の空気中での広がり方や,微生物の違いによって生じる雲のでき方などを解き明かせる。こうした研究取り組みはヒト健康や気象変動の理解にも役立つので,頑張りたい。
そこで,6月1日から4日までシンガポールを訪問し,夏の観測と研究について,シンガポール国立大学のPointing先生と打ち合わせし,観測場所の下見もしてきた。
シンガポール国立大学は町の郊外に大きな敷地を構え,Pointing先生の研究室のスペースも広く,私用に作業机と実験台が既に準備されていた。分子生物学の実験を一通りこなせ,大量にDNA抽出キットやその他の試薬もストックされており,アジアランキング1位の大学のパワーを見せつけられた。
森林の観測サイトは,Pointing先生のすすめで,シンガポール国立森林公園に設けることにし,実際に下見に出かけた。
シンガポールで一番高い山で観測ということだったので,大変な登山になるのでないかと気をもんでいたが,標高160m程度だったので,暑かったがすんなりと登頂することができた。
上には屋根のついた休憩場もあり,丁度サンプリングするにはおあつらえ向きである。
電源がないため,従来のエアポンプを使用できないのが問題だが,携帯用のハイボリュームエアサンプラーをPointing先生が紹介してくれた。このサンプラーなら2kgくらいの重量で携帯性も高く,300L/minで空気を採取できるので,短時間で大量にサンプリングできる。
ただ,シンガポールの気温は年中30度以上な上に,毎日,急激に雨(スコール)が降るため,標高160mの山と言えど,週1回サンプリング登山できるかにやや不安が残る。しかし,折角の機会なので,世界のエアロバイオロジストとしては,熱帯森林の密度の濃い空気にもまれ,シンガポールでの観測を楽しむのも良いかもしれない。
シンガポールの建造物も面白く,以前にもみたマリーナベイサンズにも圧倒され,有機生命体を思わせるタワー見える景観はSF映画のワンシーンの中にいるかの様な気分にさせてくれた。
このように一風かわった高い建造物も多いので,建物の上でのサンプリングも面白そうだ。《牧》