環境微生物学研究室 - 近畿大学生命科学科

近畿大学東大阪キャンパスにある牧輝弥教授の環境微生物学研究室です。

近大上空での初観測の記録(2020/8)

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1年近く前の観測ですが、ブログに未記載でしたので記録しておきます。

2020年8月31日、近畿大学上空のバイオエアロゾルを採取

近大上空は初観測です。

八尾市にある第一航空でヘリコプター(オリジナル観測機器を装着できるR44タイプ)を使用しました。

第一航空の遊覧飛行 | 第一航空株式会社

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以下、牧教授レポートです。

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令和2年8月31日に,東大阪近畿大学)上空300mに浮遊するバイオエアロゾルを採取するため,八尾飛行場からヘリコプターを飛行させました。

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前方助手席には牧が陣取り,サンプリングを施行し,後方では,M君(4年生)がポンプや粒子測定器のオペレータを務めます。

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八尾空港から近畿大学上空までは5分程度で到達し,その後20分ほどは,近大上空を旋回しながら,手作りのバイオエアロゾルサンプラーで大気中の粒子を捕集しました。

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今回は,従来のサンプラー(直径13 mmのフィルターを使用)に加えて,より大型のサンプラー(直径1,100 mmのフィルターを使用)も使用しましたので,その捕集量は今までの800倍になります。解析が楽しみです。

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研究室に戻ると,早速,捉えた大気粒子の試料を,DNAを染色する染色剤で染めて,蛍光顕微鏡で観ました。

すると,視野いっぱいに,青い海ぶどうのような粒子が広がっていました。

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いつもは,青い小粒子(細菌)や黄色い粒子(有機物),丸い青粒子(真菌胞子),凝集粒子などが数粒ずつ観察されるのですが,今回の青い海ぶどう粒子は異常です。

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平成19年3月19日にも能登上空で,ラーメン状粒子が視野いっぱいに観察されたことがあり,それを思い出しました。

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真菌の顕微鏡写真

その後の実験で,ラーメン状粒子は真菌(カビ,キノコ)細胞の破片である可能性が濃厚になりました。

ですので,青い海ぶどう粒子も,生駒山に生息するキノコに由来するものかもしれません。

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兎も角,大阪上空に,青い海ぶどう粒子が沢山飛んでいることには驚きです。

今後,この粒子の正体を突き止め,その環境への影響なども調べていきたいです。

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青い海ぶどう粒子と黄色粒子