環境微生物学研究室 - 近畿大学生命科学科

近畿大学東大阪キャンパスにある牧輝弥教授の環境微生物学研究室です。

モンゴル観測記【学生レポート①】

黄砂によって運ばれる微生物の健康被害を調べるため、黄砂発生源であるゴビ砂漠にて、バイオエアロゾル(大気微生物)に関する研究調査を実施しました。

今年は4年生が2名、牧先生に同行しました。

プロ級に素晴らしい写真をたくさん撮ってきてくれましたので、レポートとともにお届けします。

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こんにちは!環境微生物学研究室の4年生 木下と小澤です!

4月25日~5月4日にモンゴルに行き、黄砂発生源であるゴビ砂漠のツォクトーボーで観測を行ってきました!今回は観測の様子を紹介します。

【4月26日】

木下「ツォクトーボーとはモンゴルにある町の名前で、ウランバートルからはなんと南に約500km離れています!砂漠の景色を見ながらの車移動はとても楽しかったです!」

小澤「見渡す限り砂と青い空が広がっていて、日本ではなかなか見られない貴重な景色でしたね。」

草を食べる馬たち

ラクダがたくさん

道路標識「牛に注意」

高層ビルの間に沈む夕日

「移動途中マンダルゴビという町でお昼ご飯を食べました。初めてのモンゴル飯.....メニューが全然読めない!お店の人にカタコト英語で色々教えてもらいました!

結局木下が頼んだのはボーズ定食!ボーズとはモンゴル版の蒸し餃子のようなもので、ジューシーなお肉がとても美味しかったです(^▽^)/」

メニュー看板

ボーズ定食

「ツォクトーボーのお宿に到着!夜は星空がとても美しかったです!

モンゴル語で星はアット(од)と言うそうです。」

宿から見えた星空

【4月27日】

「ツォクトーボーには観測地点が何か所かあるので、はじめに見学に行きました!全部で7か所ありましたがどこも壮大!

各地点の様子を観察して私たちがサンプルを設置する場所を決めました!」

ツォクトーボーでの観測サイト

「黄砂捕集の為、観測地点にジャッカル式サンプラーを取り付けました。

いよいよサンプリングが始まります!」

ジャッカル式サンプラー

※当研究室ではおなじみですが、「ジャッカル式サンプラーってなに?」という方はこちらをご覧ください↓↓(昨年度の教授レポートの最後に説明しています)

kankyobiseibutu.hatenablog.com

「シリコントラッパーは通常のものに加え、タコ足や半分に切ったものも取り付けました。それぞれの形状で、粒子の付着の仕方にどんな違いが見られるのか、楽しみです。

さらに、他大学の方々が設置したタワーの頂上と中腹にも取り付けさせて頂きました。高度別の微生物の違いも検証できそうです!」

シリコントラッパー

設置したタワー

「塔の設置を終えてこの日の作業は終了!一日中砂漠で作業しました!

この日は一緒に作業を行っていた他大学の先生や生徒でハルマックというレストランに行きました。私が頼んだ料理はウンドゥクタイ( Өндегтэй хуурга )という羊肉と卵がメインのモンゴル料理でした!」

ウンドゥクタイ

「私は、ツォイバン(цуйван)という、羊肉や野菜と麺を油で炒めて蒸した料理をいただきました。とてもボリューミーで美味しかったです!」

ツォイバン

【4月28日】

「今週の天気予報を見ていると、今日はツォクトーボー滞在中で一番の風が強い日とのこと.....

いいサンプルが取れますようにと願って今日もサンプリングに出かけました。

基本的に、4連ジャッカル式サンプラーは朝ごはん前と夕ご飯前の1日2回交換を行い、シリコントラッパーは1日1回お昼頃に交換を行います。

朝8時頃にメインの観測場所へ向かうととても風が強い!

今日はゴーグルとストール必須です。」

私の完全防備

「今日はメインの観測地点以外にもシリコントラッパーを仕掛けに行きました。シリコントラッパーは観測地点ごとにあった形を考えて設置しました!

観測途中ふと足元を見てみると、なんと砂が動いている!

強い風によって表面に体積している細かい砂が風で飛ばされて風の様子が見えます!

こうやって砂塵が起こっているのかと思っていると、後方から私たちの真横をダストデビルが駆け抜けていく!

モンゴルの砂漠を身をもって体感した一日でした。

※ダストデビルとは?…乾燥地帯で発生する、塵を巻き上げて渦巻く突風現象

ダスト発生時の様子

「砂塵発生時には、砂が高く舞い上がり、白いモヤとして観察できましたね。」

【4月29日】

「今回は各観測地点で土壌サンプリングも行いました。土壌を10㎝程掘り、表層を集めていきます。

少し離れるだけでもかなり土壌の様子に差があり、驚きました。」

土壌サンプリングの様子

「砂漠と言えばとても乾燥している!といった印象でしたが、土壌を掘ってみると意外と濡れた土や粘土の層があり驚きました!

なんとここの観測地点周辺は夏になると巨大な湖に生まれ変わるそう.....

今の様子からは全然想像がつきませんが、砂漠をよく観察すると、ところどころに水食の跡や水たまりが乾いたようなクラストが見られました!

クラスト

「観測地点では見たことのない植物が沢山観察出来ましたね。

ハーブの匂いがする植物や根がとても長い植物等、特に印象に残ったのは細長いネギのような植物です。一口食べてみたところ、本当にネギの味がしました!

「モンゴル人に食べてみな!と言われたときは驚きましたが、意外と辛さが少なくて食べやすい印象でした!

モンゴルの方はフムートと呼ぶそうです!植生の調査を行っている方に話を聞くと中国では砂葱というみたいですよ。

また、根が長い植物というのは砂漠の地下水を求めて長く伸びているそうです。

土壌サンプリングを行った際にも思いましたが、表面はかなり乾いていても深くまで掘ると意外と土壌は湿っており、植物が乾燥地で生きるための戦略なのだと思いました。」

観測地点で見られた植物たち

「午後は宿の部屋で土壌サンプルのDNA抽出を行いました。作業中、サンプルを冷却する器具が無かった為、急遽アイスを購入。

サンプルをアイスに刺して冷やしました。限られた器具で行う現地の実験ならではの経験でした!」

アイスに刺したサンプル

「途中停電してしまい遠心分離器が使えなくなってしまうなど、色々ありましたね....何とかきれいなDNAが抽出できているといいのですが......」

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モンゴル観測記【学生レポート②】に続きます。。。