黄砂によって運ばれる微生物の健康被害を調べるため、黄砂発生源であるゴビ砂漠にて、バイオエアロゾル(大気微生物)に関する研究調査を実施しました。
モンゴル気象水文環境情報研究所の研究者ともに、ゴビ砂漠のツォクトーボーに出向いた牧教授レポートをお届けします!
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黄砂とともに微生物も断続的に日本へと来襲しています。
その微生物の“元”を捉えるためにゴビ砂漠に行ってきました。
ウランバートルに着いたあと,車で500km南のツォクトーボーに移動します。
この町は,ゴビ砂漠の真ん中にあり,沙漠から舞い上がる微生物を採るには絶好の場所です。
もちろん,日本に飛んで来る微生物の“元”もここにいるはずです。
沙漠には,鳥取大学が設置した観測サイトがあり,そこのフェンスにジャッカル式サンプラーを二機設置し,バイオエアロゾルを採取しました。
サンプラーを取り付けた時は,雪がちらつき大地が凍るような寒さだったのですが,翌日には春になり,翌々日には夏になりました。
寒いと地面が固くなり,風が吹いてもなかなか砂が飛び上がりません。
ですので,夏くらいの気温になってくると,地面が緩み砂状になり,風が吹くと,ザザザーと砂が走り出します。
大きな砂に弾かれた小さな砂(粘土)は,より高く舞い上がり,まるで沙漠から砂がモワッと湧くような感じになります。
強い風が吹くと,モワモワモワッと粘土がより高くわき上がり,砂が赤いものですから,沙漠が燃えているようになります。
観測の期間中,普段は気温が高くなる昼から夕方にかけて,観測していた沙漠でだけ砂塵が起きていたのですが,最終日は風が強く,ツォクトーボーの町も強烈な砂塵に襲われました。
丁度,買い物に出かけた折に,沙漠から町に吹き込んだ砂塵に襲われ,一緒にいた学生さんは,思わず顔を覆い「ジョジョ立ち」していました。
多分,襲ってきた砂塵は「神砂嵐」だと思います。
神砂嵐:『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する「柱の男」の1人であるワムウの操る必殺技の1つである。風の流法という体機能の作用で空気の流れをすさまじい規模で操る技法を使う。
今回は,他の大学の研究者や学生さんも参加されており,観測でも宿泊でも和気藹々としていました。
筑波大の浅野先生のグループは,沙漠の土壌を掘り,その土壌断面から沙漠の成り立ちを調べておられます。
結構根深い植物でも掘り返し,我々に披露してくれました。
アリウムと言う植物の根は,茎から放射状に伸びていて,しかも太く,ミミズの集合体のような植物以外の生物にみえました。
丁度,マトリクスにでてくるセンチネルみたいな感じです。
このアリウムは,沙漠の至る所に生えており,これまたセンチネルのように無数に沙漠に生息しているようです。
香川大の石塚先生や山本先生は,土壌表面から飛び上がってくる砂を捉え,その大きさを調べておられます。
取った砂を,昼夜問わずに観察されており,その熱心さには関心しました。
時々,「砂を捨て町に出よう」と寺山修司ばりに言ってあげたかったのですが,町も砂ばかりなので止めました。
鳥取大のウーさんはドローンを使って,沙漠表面の写真をとり,先ほどのアリウムの分布など調べています。
この5年間でウーさんは名パイロットに成長されており,クリンカシムがダグラムを操るかのようにドローンを縦横無尽に扱っていました。
われわれ「太陽の牙」の観測は来年に続く。
(牧教授レポート 完)
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ゾドとは?
季節による気温の差が激しい内陸性の気候で、夏は40℃ 近くまで上がる一方で、冬はマイナス30℃以下まで下がります。 夏の干ばつに続き、豪雪や氷点下40℃以下の極寒の冬が訪れるモンゴル特有の自然災害のことを、「ゾド」と呼びます。
引用:日本赤十字社
ジャッカル式サンプラーとは?
おもにパイプとホースで構成された、牧教授手作りの持ち運び可能なサンプラー。
名前の由来は、アクション小説『ジャッカルの日』に出てくる松葉杖に変形するライフル銃です。
#映画の中の変な武器
— バイタルパート 週末・静岡ホビーショー BOOTH ご覧ください (@fuaox505) April 24, 2024
映画「ジャッカルの日」で凄腕スナイパーが松葉杖に隠して運んだ狙撃ライフル。
シンプルで組み立て容易だった。 pic.twitter.com/UTMbSnPIb7
『ジャッカルの日』とは暗殺者ジャッカルがフランスのドゴール大統領の暗殺を企てるアクション小説である。大統領をねらうには、ジャッカルはライフル銃を持って警備の包囲網をかいくぐらなければならない。そこで、ジャッカルは、松葉杖に変形するライフル銃を自作し、その松葉杖をついた傷痍軍人を装って包囲網を突破し、再度組み直したライフル銃で大統領を撃つが……(この先は小説でどうぞ)。
松葉杖になってしまうライフル銃とはどのようなものかと、映画で確認してみた。ライフル銃といってもほとんどパイプではないか。サンプラーもパイプだけにできれば、持ち運びも簡単だ。ジャッカルも、パイプ状のライフル銃だったので、簡単に検問を通過し国境を越えている。
詳しくは牧輝弥著『雨もキノコも鼻クソも大気微生物の世界 気候・健康・発酵とバイオエアロゾル』149ページをご参照ください!
観測チームにおられた香川大の石塚先生がインスタグラムでモンゴルでの食事をあげてくださっています。
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