環境微生物学研究室 - 近畿大学生命科学科

近畿大学東大阪キャンパスにある牧輝弥教授の環境微生物学研究室です。

奥深い「微生物アート」の世界

画像引用:https://gendai.media/articles/-/58827

先日、新聞の朝刊で「絵の具は微生物 生きたアート」という記事を見つけました。

山梨大学生命環境学部の田中靖浩先生と学生がインスタに「微生物アート」の画像を投稿しているのが話題だそうなんです。

微生物アートの部屋 【山梨大学 生命環境学部 環境科学科】

「微生物アート」とは色素を持つ微生物を絵の具代わりに使い、シャーレの中に絵を描いたものです。

当研究室ではまだチャレンジしたことはないのですが、すごくきれいな作品ばかりで見ているだけでとても面白い!

ということで、微生物アートの世界についてご紹介します。

微生物アートの作り方

  1. 河川や土壌から試料を集めて培養する
  2. 様々な色の微生物を取り出し、色別に培養して「色のパレット」を作る
  3. プラスチック製の細い棒で「絵の具」をすくい取る
  4. シャーレに敷いた寒天培地に塗り付ける
  5. 数日置くと寒天の栄養で微生物が育ち絵が浮かび上がる

大気試料から培養した微生物

これは研究室の学生が自宅付近の大気から採取して培養した微生物ですが、それぞれ違う色や形がありますよね。

作業はクリーンベンチ内で、他の微生物が混ざらないように慎重にしないと思い通りの絵が描けません。かなり根気のいる作業です。

たくさんの色を集めようと思ったら、試料探しの段階から大変そうです。

山梨大の学生:「描いたその場では透明でどんな絵になるか分からない。それが難しくもあり、面白い」

もちろん日を置きすぎると微生物が成長しすぎて形や色が崩れます。そのタイミングを見計らうのも難しいですが、毎日成長を観察するのは楽しそうですね。

 

山梨大ではこの夏のオープンキャンパスで、高校生も微生物アートにチャレンジしていました。

特別企画 微生物アートコンテスト

画像引用:日本微生物生態学会

2019年の日本微生物生態学会第33回大会は山梨大学で開かれ、特別企画として田中先生が担当された微生物アートコンテストが開催されました。 

佳作(作品名︓昆⾍)

2019年日本微生物生態学会 第33回大会 微生物アートコンテスト受賞作品 ↓↓

https://www2.aeplan.co.jp/jsme2019/pdf/art_award.pdf

 

アメリカでは2015年から毎年、微生物学会でコンテストが開催されています。

今年も山梨大田中研究室からは4名の学生がコンテストに挑むそうです。

微生物学会:

https://asm.org/Events/ASM-Agar-Art-Contest/Home

ちなみに2018年『ASM Agar Art Contest』の優勝作品はこちらです!

タイトル:The battle of winter and spring

ジョージア農業大学の学生による作品だそうですが、これが微生物の絵具でかかれたとは驚きですよね。

アメリ微生物学会のページはこちら ↓↓

asm.org

他にもインスタで見つけた海外の素敵な作品をご紹介します。

 
 
 
 
 
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「寒天アート」を意味する「#agarart」で調べると、本当にたくさんの作品が出てきますのでチェックしてみてください。

https://www.instagram.com/explore/tags/agarart/

自宅でも微生物アートができる!?

新聞に載っていた、納豆菌を使って気軽に「微生物アート」を作る方法をご紹介します。

用意するもの
  • ミネラルウォーター(1L)
  • スポーツ飲料(20ml)
  • 乾燥酵母の錠剤(5g)を砕いたもの
  • 粉末寒天(15g)
  • 納豆のついたパック

※乾燥酵母は薬局で買えます

作り方
  1. 納豆パック以外の材料をすべて鍋で煮る
  2. プラスチック製のケースに流し込み、ふたをして固める(シャーレ20枚くらいになる)
  3. 納豆を取り出した空のパック(納豆菌が付着)にミネラルウォーターを2~3mlたらし、熱湯で殺菌した割りばしを使って混ぜる
  4. 割りばしの先端にこの納豆菌の液をつけ、寒天の上に絵を描いていく

※参考記事:讀賣新聞

培養された納豆菌は乳白色なので鮮やかな絵にはなりませんが、記者の方が描いたトンボはくっきり浮かび上がってきていました。

ぜひご自宅でもやってみてください。

そのうち当研究室でも体験型の実験で下級生に試してもらうかもしれません。

 

もっと詳しい作り方はこちらの記事で紹介されています ↓↓

(色別おすすめ微生物なども記載)

www.rikelab.jp